第1段(1 / 3)

たったひとつの戀

例えば夏の日の花火みたいに忘れられない

たった たったひとつの戀なんていうのがあるとすれば

おい もう今日終わろう

あ ちょっと これだけ

ああ…

もう終わりましょう

それはやっばり

二十歳の頃の戀なのかな

甲 お前ダメじゃないか!

配達終わったら すぐこっちに報告しなきゃ

あ すいません うっかり…

うっかりじゃねえよ 今度やったらなクビだぞクビ!

でも僕らときたら そういうことはまるでダメで

なんていうか

ダサいし金ないし…

ねえ

ねえ

友達

また これで行くの?

これしかない

じゃあ ちょっと待ってて

おまけに やってることも カッコ悪かった

え…どこどこ?

海釣り公園かな

いい 金かかっから無理無理 知ってるよ

発電所でいいじゃん 発電所かあ

火力発電所の廃水が流れ込む その辺りは

海の水が溫かくなりウジヤウジヤ魚が集まってくるため

立ち入り禁止區域に指定されている

そこに忍び込み魚を釣り

料亭に持っていって金に換える

人いるよ ヤバイよ

とりあえず日が暮れて人目のなくなるのを待つ

あ~

フ…月丘さん

こういう席で笑うとは 何事ですか!

すいません

ねえ これ クーラーボックスなかったの?

ああ 探したんだけどね これでいいっしよ

あ いやいや…ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい

どうしたって パッとしない僕らだった

茶の湯とは主客 お互いを敬う心がなくてはなりません

それはひとへの心遣いに始まります

お客様においしいお茶を差し上げたい

おいしいお茶を飲んでいただきたい という真心

もてなしの心 それを感じていただく客の心

それが茶の湯の精神です

お點前もただ器用に

上手にたてるのが目的ではありません

大事なのは心です

心のこもった點前です

イヤ~ もう!

いや~!やだやだ もう! うわ~!

うわ~ ちょっ…

月丘さん

はい…すみません

でも僕は…君と出會った

寒い

亜裕太ここ気をつけろよ お~ サンキユー

來た… え?

マジか お前超デケェぞ え どうしょ 手伝え

おいおい バカバ力 俺も來た 俺も來た

えっ マジで あ~俺も 來た來た來た

來た メバル~ うっしや~ メバルゲット

來たね メバル多いね

おい… ヤバイよ

お前ら そこで何やってるんだ

オトリ オトリ オトリ 俺 行ってくる

エクスキユーズミー あの…

この…暇人が

ふざけやがって

行くぞ

こっちこっち こっちこっち…